最終更新日 2024年3月14日 by co-in
使えるこんにちは。co-inと申します。
「Company」と「Interpreter」の頭文字2文字ずつを取ってco-inです。
早速ではありますが、Web会議システムのZoomには同時通訳機能があることを知っていますか?Zoom上で設定を行うだけで、特別な機器を用意せずに通訳者を招待して同時通訳をすることができます。
この記事ではZoomの同時通訳機能を利用する方のために、設定の手順を詳細に説明しております。お読みいただき不明点があれば是非こちらに問い合わせください。相談に無料で対応しています。
※通訳者側の設定を確認したい場合は、以下のページをご確認ください。
Contents
Zoomとは
テレビ会議・Web会議をすることができるアプリケーションです。PC、スマートフォン、タブレットなどのどんなツールからでもアクセスすることができ、いつでも、どこでもWeb会議ができます。同時に複数人でのアクセスをすることも可能です。
主にビジネスの場面において利用されています。新型コロナウイルスの影響もあり、2020年4月には1日あたりの利用者が全世界で3億人に達しました。大半の機能は無料で利用することができます。有料アカウントを作成することで、機能制限なく利用することも可能です。
Zoomの「言語通訳機能」とは
Zoomの「言語通訳機能」とは、会議に同時通訳を入れるための機能です。勘違いされている方もいますが、AIによる通訳ではありません。人間の通訳者を入れ、言語毎に通訳者のチャンネルを振り分けることにより、参加者が任意の言語を選んで会議内容を聞くことが可能になります。
なお、同時通訳機能を利用するには有料アカウントが必要です。詳細は次の「Zoomの同時通訳機能を利用するための事前準備」内で説明します。
それでは、事前準備、同時通訳機能をオンにした会議の設定方法、会議当日の流れといった順番で説明していきます。
(余談ですがZoomにAIでの通訳機能はありませんが、文字起こし機能はあります。)
Zoomの同時通訳機能を利用するための事前準備
同時通訳機能を利用するための3つの条件(2021年5月4日以降)
Zoomの同時通訳機能を利用するためには、3つの条件があります。
- 特定の有料プランを購入していること
- Zoomをアプリで利用する場合、アプリが特定のバージョン以上であること
- 自動生成IDを使うミーティングであること
①特定の有料プランを購入していること
同時通訳機能を利用するためには、以下のいずれかの有料プランを購入している必要があります。
- ビジネス、教育、エンタープライズ、プロの4つのうちいずれかの有料会員プラン
- ウェビナーのアドオンプラン
未購入の場合は、購入を済ませてからZoom会議を主催しましょう。
②Zoomをアプリで利用する場合、アプリが特定のバージョン以上であること
PCアプリ、スマホアプリの場合それぞれ特定のバージョン以上のものを利用している必要があります。
- ZoomをPCのアプリで利用する方(=Zoomデスクトップクライアント)
- Windows: 5.2.1(44052.0816)以降
- macOS: 5.2.1(44040.0816)以降
- Zoomをスマホのアプリで利用する方(=Zoomモバイルアプリ)
- Android: 5.2.1(44042.0816)以降
- iOS: 5.2.1(44038.0816)以降
上記より古いバージョンを利用している場合は、アップデートを済ませてから会議を迎えましょう。
③自動生成IDを使うミーティングであること
ご自身のパーソナルルームを利用したミーティングでは同時通訳機能は利用できません。自動生成IDを利用するmtgを設定しましょう。
これら3つの条件に対応してからZoom会議を立ち上げましょう。
Zoomで同時通訳機能を利用するための事前設定
こちらでは、前項の3つの条件を満たしたうえで会議当日に同時通訳機能を利用するための設定を紹介します。本記事内のこれ以降ではウェビナーではなく、Zoomミーティングを前提に説明を進めます。ウェビナーでも大きな違いはないため参考にしてください。
ZoomのWebポータル上の「設定」内の「ミーティングにて(詳細)」に以下のような設定ができるようになっております。このチェックボタンをオンにするだけで同時通訳機能を利用するための事前設定は完了です。
(あくまでも事前設定となり、後述する個別会議それぞれの設定も必要となります。)
もし、このボタンが表示されていない場合、前項記載のZoomで同時通訳機能を利用するための3つの条件のうち、①特定の有料プランを購入していること②利用する端末のOSが特定のバージョン以上であることのいずれかが満たされていない可能性が高いです。
アプリのバージョンについては、Zoomのプロフィールから確認できます。
【PCの場合のプロフィール確認方法】
Zoomのアプリケーションを開き、右上の自分のアイコンからプロフィールを開いてください。プロフィールの中に「Zoomについて」という項目があるので、そちらを押下すると、バージョンを確認できます。
【スマホアプリの場合のプロフィール確認方法】
アプリ内の「設定」を選択してください。「詳細情報」のボタンをタップすると、バージョンを確認できます。
3つの条件を満たしていて、それでも言語通訳のチェックボタンがない場合は、Zoomサポートに機能の有効化をリクエストしてください。現在は「機能の有効化」がなくとも言語通訳機能が使えるはずですが、まれに機能の有効化が必要なケースがあるようです。(Zoom側のバグだと思います。)
Zoom会議で使用する言語を増やす方法
現在、デフォルトの設定では、主要9言語(英語、中国語、日本語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語、韓国語)のみしか言語の選択できません。
しかしながら、Zoomの同時通訳機能では最大5つまで使用する言語を手入力で追加することができます。
言語通訳をオンにした際に利用した「設定」内の「ミーティングにて(詳細)」の下部が以下のように設定できる言語が一覧できるようになっています。
この画面で10 languages(デフォルトでは9 languages)の「+」を押すと言語の追加ができます。(下図の右側のオレンジ色の印部分)
「+」を押すと、以下の画面に遷移します。追加したい言語名をご入力ください。入力すると、この言語をZoom中に選択することができるようになります。
この時、1点だけ注意があります。それは、言語名を会議参加者が理解できる表記で記載することです。
例えば、イタリア語を追加したいときに、日本語で「イタリア語」と追加を実施したとします。
すると、全ユーザに対して「イタリア語」と表記されてしまいます。つまり、日本語が話せない、理解できないイタリア人ユーザーのZoom画面上にも「イタリア語」という日本語が表示されてしまいます。
そのため、イタリア語で「Italiano」と表記するか、英語で「Italian」と表記することをお勧めします。
同時通訳機能を有効化したZoom会議の設定方法
事前準備が全て済んでいる場合、会議の設定時に「同時通訳」を選択できるようになっております。ブラウザ、PCアプリ、モバイルアプリそれぞれの場合でどのように会議を設定するかを説明いたします。
Zoomのブラウザ版から
「ミーティングをスケジュールする」を押下すると、最下部にて通訳の設定が可能になります。
Zoom PCアプリから
「ミーティングをスケジュールする」の最下部にて設定可能です。
Zoomスマホアプリから
「ミーティングオプション」が最初から全て出ていない場合もあるので、その場合は▼ボタンを押して開いてください
対象言語と通訳者の事前設定(ブラウザ、PCアプリ共通)
言語通訳機能をオンにして会議を設定する時に対象言語と、通訳者を設定することもできます。設定する場合は、言語通訳機能をオンにした際に出現する下記画面内で通訳者のメールアドレスと言語ペアを選択してください。
この設定は、事前に通訳者のZoomアカウントに利用されているメールアドレスを知っている場合のみ設定が可能です。
尚、会議当日に通訳者側が登録したメールアドレス以外のアドレスでログインしたり、Zoomにログインせずに会議に参加したりした場合、この事前設定の内容が反映されませんのでご注意ください。
通訳者の設定は実際の会議開始後に実施することも可能です。そのため、通訳者のメールアドレスが分からない場合はここでは通訳者を登録せずに進めましょう。会議開始後の通訳者設定方法は後述します。
スマホ版では、メールアドレスを用いた通訳権限の事前設定はできないです。そのため、後述する方法で会議開始後に通訳者の設定を行いましょう。
同時通訳機能を利用するZoom会議当日の流れ
Zoomの同時通訳機能を利用した会議を行うために会議当日に行うことを解説します。会議の主催者もしくは共同主催者である場合、設定をすることが可能です。
会議への参加
通常通りに会議を立ち上げ、参加します。このステップは他の会議の場合と同じで特別に行うことはありません。
通訳者の設定/追加/削除の方法
会議主催者(または共同ホスト)が会議を立ち上げると、右下部に通訳のメニューが表示されております。
通訳のメニューをクリックすると、以下のように通訳者の権限を会議参加者に与えることが可能になります。言語のペアを選択肢、通訳者のログイン名を入力することで、その人に権限が付与することが可能です。また、画面下部より通訳者の追加を行うことも可能です。
通訳者を設定し、右下の開始ボタン(途中で通訳者を追加する場合は左下の通訳者を追加ボタン)を押下することで、通訳機能がスタートします。
もし、通訳者を削除したい場合は通訳者の名前の右側の×アイコンをクリックしてください。
ここで会議の参加者から通訳者を見つけ、権限を付与する時に注意することがあります。
それは、本名ではなく、Zoomのログイン名で通訳者を探すということです。例えば、「田中太郎」さんが通訳者としてログインする場合でも「Tanaka Taro」でZoomに登録している場合は、「田中」で検索しても出てきません。「Tanaka」で検索をしてください。
尚、通訳者が権限を付与された後の見え方については、こちらの記事を確認してください。
会議中の通訳音声の聞き方
通訳者を設定し、同時通訳機能がスタートした後は、視聴者と主催者の両者は以下のように、言語通訳のチャンネルを選択することが可能になります。
オフを選択すると、会場音声(通訳者以外の参加者の声)のみが聞こえる状態になります。
それぞれの通訳チャンネルを選択すると、選択した通訳音声と会場音声が聞こえる状態になります。自分の選択している言語の方が会場音声より大きなボリュームで聞こえます。
通訳中に会場音声を一切拾わず、選択した音声だけを聞きたい場合は、「オリジナル音声をミュートにする」にチェックを入れましょう
通訳セッションの終了方法
通訳セッションを終了する場合、主催者はミーティングオプション⇒通訳、言語通訳を管理するの順番にクリックしてください。メニューが表示された後、主催者が右下の終了を押下すると通訳セッションが終了します。
Zoom同時通訳機能を利用中の音声回線の図解
ここまで、実際にどのようにZoomで同時通訳機能を利用するのかに焦点をあてて解説してきました。会場や通訳者の音声など色々複雑な部分もあったと思います。
そこでこの項では、同時通訳機能をオンにした時の音声回線を図解で説明します。主催者はこの構造を理解しておくことで、ミーティングをより良く仕切ることができます。
Zoomの同時通訳機能を利用すると、会場音声に加えて、通訳音声というチャンネルが生成されます。複数言語の訳出が必要な場合、通訳音声は複数生成することが可能です。上記の例では英語、日本語を通訳音声として設定しています。
会場音声、通訳音声それぞれの特徴をまとめました。
会場音声:上図中の会場で流れる音声です。通訳者以外の声が流れます。通訳者の権限が割り当てられた人の発言は会場音声としては聞こえません。
通訳音声:通訳者が訳出した音声を聞くことができます。言語ごとにチャンネルが分かれているので、好きな言語を選ぶことができます。会議主催者、会場参加者は言語を選択することで、希望の言語の通訳音声を聞くことが可能です。一方、通訳者に割り当てられた人は、ほかの通訳者が訳出している通訳音声を聞くことはできません。例えば、図中の通訳者1は通訳者2の声を聞くことができません。
Ver 5.9.6から通訳者が他の通訳者の音声も聞けるようになりました。
最新バージョンでは、通訳者の画面では以下のようにListening inの言語とSpeaking toの言語を選択することができます。Listening inでMain Audio以外を選択し、任意の言語を選択することによって通訳者が相互の訳出を聞くことも可能になっています。
ここからは、概念はわかったけど具体的にどう聞こえるのか知りたいという方のために上図のシチュエーションを例に取り、実際どのように音声が聞こえるのかを説明します。
会議の概要
- アメリカ、日本の2か国の企業による経営戦略発表シンポジウム
- それぞれ、英語、日本語を話す。そのため、会場は英語と日本語が交互に入れかう。
- 同時通訳を実施する。
通訳音声をオフにしている人の聞こえ方
会場音声のみが聞こえます。
- アメリカ企業が英語で発表しているとき:会場の英語音声
- 日本企業が日本語で発表しているとき:会場の日本語音声
英語の通訳音声をオンにしている人の聞こえ方
常に英語音声がはっきり聞こえるように聞こえます。
- アメリカ企業が英語で発表しているとき:会場の英語音声
- 日本企業が日本語で発表しているとき:微量の会場の日本語音声と英語の通訳音声
日本語の通訳音声をオンにしている人の聞こえ方
常に日本語音声がはっきり聞こえるように聞こえます。
- アメリカ企業が英語で発表しているとき:微量の会場の英語音声と日本語の通訳音声
- 日本企業が日本語で発表しているとき:会場の日本語音声
つまり、自分が聞きたい通訳音声を選択しておけば、チャンネルを都度切り替えなくても常に自分が聞きたい言語の音声を聞くことができます。チャンネルの切り替えがいらないため、視聴者としては非常に便利な機能です。
Zoomの同時通訳機能で会議をするときに知っておくべきこと
ここまでで、Zoomでの同時通訳機能の設定方法はご理解いただけたと思います。ここからは、Zoomで同時通訳機能を利用するときに会議主催者として知っておくべきことを紹介します。
Zoom上で通訳者同士の意思疎通ができない
Zoomの同時通訳機能では、通訳者として設定されると他の通訳者との意思疎通がZoom上で取れない仕様になっています。
通訳者として設定されると常に会場音声しか聞こえません。そのため、他の通訳者の訳出は一切聞こえません。例えば、AさんとBさんが英語通訳者として割り当てられたとします。その際、Aさんが訳しているとき、BさんはAさんの声が聞こえません。逆もしかりです。
また通訳者間での意思疎通のためのチャンネルも用意されていないのでZoom上での意思疎通は不可能です。
そのため、主催者が仕切って、通訳者同士のコミュニケーションの取り方を事前に決めておく必要があります。Zoom以外のツール、例えばLineやSlackもしくはGoogle Meetなどを利用することをお勧めします。事前にアカウントを交換しておき、会議中にすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。
リレー方式に対応していない ※Ver 5.9.6からリレー通訳に対応
Zoomの同時通訳機能はリレー方式の通訳に対応していません。
リレー方式とは3言語以上を利用し、リレーのように訳をつないでいく通訳のことです。例えば、英語、日本語、韓国語を利用する会議で「英語⇒日本語⇒韓国語」と順番に訳出していくリレー方式が採用されることがあります。
Zoomの同時通訳機能ではリレー方式はできないため、どうしてもリレー方式をやりたい場合は、別回線をつなぐなどの工夫が必要です。
ミーティングとウィビナーで同時通訳機能を利用する時に違いはない
ミーティングとウェビナーで同時通訳機能の設定の仕方に違いはありません。
ウェビナーでも、ウェビナーをスケジュール後、本記事で紹介している「2.Zoomで同時通訳機能を利用するための事前準備」「3.Zoomの同時通訳機能をオンにした会議の設定方法」「4.会議当日の流れ」に沿って準備と当日の会議を進めてください。
電話のオーディオを使うと、通訳を聞くことができない
Zoomでは電話のオーディオを使って音声参加する方法があります。電話のオーディオで音声参加をしている場合は、通訳音声を利用できないので要注意です。通訳の設定は反映されず、会場音声だけが聞こえる状態になります。
そのため、会議の主催者である場合、通訳を聞きたい方は必ず本体のオーディオを使ってもらえるようにご案内しましょう。(電話のオーディオを使っている人は少ないとは思いますが、、、。)
通信が切れてしまう
Zoomはインターネットを介した通話になるため、インターネットの接続環境が整っていることを前提にしたツールです。推奨の通信速度は以下になっております。通信速度はSpeedtest(外部サイト)等で確認できるので、通信が切れてしまう場合などには確認してみましょう
1対1のビデオ通話の場合 |
|
---|---|
グループビデオ通話の場合 |
|
画面共有(ビデオサムネイルなし)の場合 | 50~75kbps |
画面共有(ビデオサムネイル付き)の場合 | 50~150kbps |
オーディオVoiPの場合 | 60~80kbps |
Zoom Phoneの場合 | 60~100kbps |
Zoom会議に通訳者を呼ぶならco-in
私達co-inは通訳者の手配を請け負います。直近でZoom会議への通訳者手配の依頼がとても多くなってきたため、Zoom会議専門通訳者手配サービスを開始しました。Zoom会議での通訳手配を専門としたサービスのため手厚いZoomの設定サポートを実施しています。また、手配する通訳者もZoomでの同時通訳の経験のある通訳者を優先的に手配しています。
Zoom会議に通訳者を招待したい場合、是非こちらのページをチェック・お問い合わせください!
通訳者は手配済みで、Zoom会議についてのみ質問がある場合もお気軽にお問い合わせください。通訳者側でも、通訳依頼側であっても、動作テスト等を行いたい場合は、ご相談いただければ現時点では無料で行わせていただきます。
こちらのフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。
co-inでは、Zoom会議に限らず幅広い案件に多くの通訳者を手配しております。そうした事業の中から得た視点で、通訳業界についての記事を書いております。よければ他の記事も目を通していただけますと幸いです。
参考:通訳料金について
参考:逐次通訳と同時通訳の違いについて