最終更新日 2021年6月20日 by co-in

こんにちは。co-inと申します。
「Company」と「Interpreter」の頭文字2文字ずつを取ってco-inです。名前の通り、通訳業界でのサービスを始めました。

通訳には様々な種類があります。いきなり「逐次通訳」「会議通訳」「同時通訳」「放送通訳」と聞いても、よくわかりませんよね?

実は、通訳は、「手法」と「場面」で分類されているのです。

今回の記事では手法ごと、場面ごとに通訳を分類し、それぞれの内容を説明しました。初めての方でも分かりやすいよう、丁寧に説明いたします。

そもそも通訳の種類とは?分類の方法は?

前述したように、通訳には、2種類の分類方法があり、手法による分類と場面による分類に分けられます。

手法による分類とは、「通訳を実施する場で、通訳者がどのように話者の言葉を訳出するか」による分類です。逐次通訳や同時通訳などはこの考え方による分類です。

一方、場面による分類とは、「どんな場面で通訳を実施しているか」に基づいた分類になります。会議通訳、放送通訳などはこの考え方による分類です。

2つの分類方法があるので、通訳の種類は以下のマトリックスのどこに該当するかで整理することができます。例えば、アメリカ大統領演説を、テレビで大統領が話すのとほぼ同時に通訳者が訳している場合は、「同時通訳」「放送通訳」なので、以下の表の赤で〇をつけた部分が該当します。

「ちょっと待って、そもそも表の中の言葉よくわかりません。同時通訳?放送通訳?他もわからない。。。」という方、ご安心ください。

これから表中の言葉1つずつ丁寧に解説させて頂きます。気になる項目がある場合は、目次から必要な部分だけをクリックしてお読みください。

手法による分類

まずは表の横軸であった、手法による分類から説明いたします。

手法による分類は、逐次通訳、同時通訳、ウィスパリングの3種類です。1つずつ解説していきます。手法の分類については以下の記事にてかなり詳しく書いているので、この記事では簡単にご説明いたします。

逐次通訳と同時通訳の違い:どの通訳を手配するべき?

逐次通訳

逐次通訳とは、話者の話を一定のところで区切って間を取り、通訳者がそこまでの話を訳し、訳が終わったらまた話者が話を再開し、一定のところで区切る…というのを続けていく通訳手法です。

メリットとしては、専門的な機材は不要なことです。加えて、話者の話していることをゆっくりと訳していくため正確に訳していくことができるのもメリットに挙げられます。

必要な通訳者の人数も3時間以内程度までなら1人の通訳者で対応が可能と言われております。(より正確性を高めたいのであれば、複数人手配すると良いです)

10名以下くらいの比較的少人数の場面で利用されます。具体的には、会議室での商談、視察(工場などの見学)などに適しております。

同時通訳

同時通訳とは、話者が言葉を話すのとほぼ同時に、並行して通訳者が訳していく通訳手法です。話者の話に合わせて、ワンテンポ遅れて通訳者が訳した内容を発言していきます。瞬時に確実に話者の言葉を拾う必要があるため、言葉を聞き、訳出するための専門的な機材が必要です。

メリットとしては、話者の話していることをタイムラグなく聴衆に届けられることです。タイムラグが発生しないため、会議の時間が通訳のせいで長くなるというケースはないです。

ただし、高い集中力が必要とされるため、通常、15分~20分ごとの交代制で行われます。そのため、複数人の通訳者手配が必要となります。(通訳者ごとの特性によりますが、一般的には複数人が必要とされるケースが多いようです)

同時通訳は、タイムラグが発生しないという特性上、聴衆が大人数の場面で利用されます。具体的には、記者会見、講演、シンポジウムなどに適しています。

ウィスパリング

ウィスパリングとは、話者の言葉を聞き手の耳元でささやくように訳していく通訳手法です。同時通訳と同様、タイムラグなく行いますが、訳出先が比較的少人数になります。

メリットとしては、基本的には同時通訳ほど本格的な機材がいらないことです。加えて、タイムラグが発生しない点もメリットとして挙げられます。

同時通訳と同じように、交代制で高い集中力が必要とされるため、必要な通訳者の人数は、複数人です。

参加者が少人数または、違う言語を話す話者が少ない場面で利用されます。具体的には、1人だけ話す言語が違う会議室での商談などに適しています。

場面による分類

本記事で紹介する場面の分類は、11種類です。

会議通訳、ビジネス通訳、アテンド通訳、医療通訳、司法通訳、放送通訳、エンターテイメント通訳、コミュニティ通訳、旅行通訳、通訳ガイド、プライベート通訳です。それでは、1つずつ解説していきます。

会議通訳

会議通訳とは、ビジネスシーン以外の専門的で高度な内容の会議で行う通訳です。国際会議やシンポジウム、政府間協議、学会といった場面が主に含まれます。

政治家や専門家が参加する会議が多く、高度で専門的な知識が必要です。必然的にトップクラスの通訳者がアサインされる場面が増えます。1対大人数の場面が多く、同時通訳が好まれる傾向にあります。

ビジネス通訳

ビジネス通訳とは、大小問わず、あらゆるビジネスシーン(アテンドを除く)で行う通訳です。社内ミーティング、社外との交渉、IR関連会議、講演会、現場視察などが含まれます。

一般的なビジネスシーンでの会話力や業界や担当するビジネスに関する深い知識が必要です。ビジネス通訳はビジネスのあらゆる場面で使われるので、この中でさらに多岐にわたっており、通訳者によってそれぞれ得意な場面が異なります。また、逐次通訳、同時通訳、ウィスパリングを使い分けます。

アテンド通訳

アテンド通訳とは、海外からの出張者や来賓の対応を行う通訳です。ビジネスシーンでのアテンド通訳は、ビジネス通訳に含む考え方もありますが、本記事ではアテンド通訳として取り扱います。海外要人のアテンド、重要取引先社長のアテンドなどが含まれます。

高いコミュニケーションスキル一般常識や時事問題など幅広い知識、そしておもてなし精神が必要になります。移動や食事の手配が含まれることもあり、通訳者の仕事の入門編と呼ばれることもあります。

アテンド中の場面は多岐にわたっており、逐次通訳、ウィスパリングを使い分けます。

医療通訳

医療通訳とは、医療のシーンで患者と医者の意思疎通を行う通訳です。日本語が話せない方の病院の受診が主な場面です。

高度で専門的な医学の知識が必要です。また、場面によっては言葉が通じない地で通院することになった患者とその家族をケアするカウンセリング力が必要です。正確に丁寧に訳することが求められるため、必然的に逐次通訳となる傾向にあります。レントゲン撮影など即座に細かい動作が必要な場面では、ウィスパリングも利用されます。

司法通訳

司法通訳とは、事件の取り調べや裁判などで行う通訳です。日本語が話せない方が被疑者や被害者となる事件が主な場面です。

司法の場面が舞台となるため、細かいニュアンスを一言一句間違えずに、精密な訳をする能力が必要です。正確性が求められるため、必然的に逐次通訳となる傾向にあります。

放送通訳

放送通訳とは、テレビ番組、特にライブシーンで行う通訳です。海外メディアのニュース、外国語での記者会見や講演などをリアルタイムで伝えたいときが主な場面です。

幅広い人が見るテレビ番組で放映されることが前提のため、わかりやすく正確な訳をする能力が必要です。リアルタイムで伝えることに重きを置いてる場面が多く、同時通訳が好まれます。

エンターテイメント通訳

エンターテイメント通訳とは、来日した著名人に同行して行う通訳です。海外からの俳優、アーティストやスポーツ選手が来日した際、テレビ出演、イベントの際に付いていき、通訳するのが主な場面です。エスコート通訳と呼ばれる場合もあります。

来日した人とつながりがある人物(知人、映画の字幕担当等)が通訳者を担当することが多いです。テレビ番組で見られるようにウィスパリング逐次通訳(来日者の言葉を伝えるとき)が併用されます。

コミュニティ通訳

コミュニティ通訳とは、日本語が話せない方の日常生活をサポートするために行う通訳です。市役所や学校での通訳が主な場面です。医療通訳、司法通訳を含む場合もありますが、専門性が高いため今回はコミュニティ通訳に含まない分類としています。

そこまで高度な専門知識の必要がない場合が多いですが、役所の手続きの仕方等活躍する場に応じた知識を持っている必要があります。必ずしもどの手法が好まれるか一般的な解はないですが、場面を考慮すると必然的に逐次通訳となる場合が多いです。

旅行通訳

旅行通訳とは、海外旅行にいく方を現地でサポートするための通訳です。海外旅行でのあらゆる旅程(ホテルチェックイン、レストラン、ツアーなど)が主な場面です。

高度な専門知識の必要がない場合が多いですが、現地の観光名所に詳しい必要があります。そのため、基本的には現地の日本語を話せる方が行うことが多いです。観光者と現地の方とのコミュニケーションの間に入る場合、逐次通訳となる場合が多いです。

通訳ガイド(案内士)

通訳ガイドとは、日本語が話せない観光客の方と一緒に観光地を巡り、その土地の説明をする通訳です。有償の通訳ガイドをするには、国家資格である通訳案内士の取得と各都道府県への通訳ガイドとしての登録が必要とされていましたが、法改正によって2018年からは資格を有しなくても有償の通訳ガイドを行うことができるようになりました。通訳ガイドの量的不足や、ニーズの増大に対応するために、法改正が行われました。

観光地案内をするため、観光地に対する知識、丁寧な説明ができる語学力、また観光客に対して細やかな気遣いができるコミュニケーション能力が必要です。基本的には、観光客の方と外国語同士での会話とを行います。観光地のお店と観光客の方とのコミュニケーションの間に入ることもありその際は、逐次通訳が利用されることが多いです。

プライベート通訳

プライベート通訳とは、プライベートな場面で行う通訳です。国際結婚をする際の家族間の打ち合わせなどに立ち会ったり、事件があった際に海外の知人に連絡することなどが含まれます。

高度な専門知識は不要ですが、プライベートな場面での通訳となるため相手の気持ちを推し量ったコミュニケーションが必要です。場面が多岐にわたりますが、手法としてはウィスパリングや逐次通訳が使われることが多いです。

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種類の違いはわかりましたでしょうか?上記説明でも分かるように、場面によって専門性がとても異なります。そのため、場面ごとの適正に合った通訳者を手配する必要がございます。

通訳はバイリンガルなら誰でもできるものではありません。きちんと種類と相性を考えることで、効果がより発揮しやすくなります。

対戦ゲームでのタイプによる相性と近いようなものかもしれません。きちんと「効果はばつぐんだ」となるような通訳手配ができると良いでしょう。

私達は会議通訳やビジネス通訳、アテンド通訳にてフリーランスの通訳者を手配します。どんな通訳者を手配すればよいか分からなくても、私達がヒアリングを通してサポートいたします。お気軽にフォームからご連絡ください。

最後に

通訳の種類について書いてきました。通訳の種類が多岐にわたるということをご理解頂けたと思います。

こちらに記載させて頂いたのは、あくまで現時点での種類となります。Youtubeなどの配信サービス、Zoomなどのオンライン会議サービスなど、新しいサービスの進展に合わせて、今後も様々な手法や場面での通訳が新ジャンルとして出てくることもあるでしょう。私達はいつでも貴方の場面に適した通訳者の手配を手伝わせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

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カテゴリー: 通訳業界知識