最終更新日 2021年7月11日 by co-in

こんにちは。co-inと申します。
CompanyとInterpreterの頭文字2文字ずつを取ってco-inです。名前の通り、通訳業界でのサービスを準備中です。本業を別に持つサラリーマン3人で運営しています。

今日は、co-inのハイボーラーが「通訳を頼むときの企業内部の動き」について書いていければと思います。

企業担当者は、通訳を頼むときどのようなコミュニケーションを社内でとるのでしょうか。どのように承認をとるのでしょうか。この本来ブラックボックスの社内のプロセスを知っていたら、企業との価格交渉でwin-winのソリューションを提示できるかもしれません。

本日はこの社内プロセスを私のサラリーマンとしての経験を活かして、物語調に紹介させて頂きます!時間がない方のために、この記事でわかることを以下にまとめてみましたのでご参考ください。

★この記事で分かること★
・稟議とは、文書で会社として進む方向性についての決裁承認を取ること
お金のかかるものすべてに対して必要になる
・決裁者を、かかる金額基準で分けている企業が多いため、決裁者のランクを下げるために、値下げ交渉をすることもある
・文書の交渉といえども、事前に口頭での根回しを行っている。根回しを助けてあげることができれば、値下げに応じなくても良い可能性もある。

導入

オレは、某消費財メーカーに勤める22歳の新入社員、稟議川 申請助(リンギガワ シンセイスケ)。皆からは、シンスケと呼ばれている。必死に就職活動をがんばり、何とか大手といわれる消費財メーカーに就職できた。

配属は、経営企画部だった。経企というと華やかなイメージだが、毎年、新入社員が1人雑用のために配属される。そう、全ての雑務はオレに降りかかってくる。優しい1つ上の先輩、決裁 取得男(ケッサイ シュトクオ)=トクさんに支えられながら、日々業務を覚え、一つ一つ乗り越えていってる。

そんなある日、トクさんから新しい業務の依頼が来た。

トクさん「シンスケ!通訳を手配したいから、稟議書いて決裁取っておいて。よろしく!」

オレ「・・・・。稟議ってどうやって書けばいいでしょうか。あんまり仕組みわかってなくて。。」

トクさん「お、おう。その苗字は一体。。。まあ、いいや!わかった。じゃあ今回は、手取り足取り教えてあげよう。稟議を制する者はサラリーマン人生を制すともいわれてるからな。とても大事だよ!」

こうしてトクさんはオレに手取り、足取り、決裁取りを教えてくれることになった。

そもそも稟議って何?

トクさん「そもそも、稟議ってどういう意味か知ってるよね?」

オレ「なんか上の人から許可をもらうための書類?みたいなイメージです。半沢直樹で沢山出てきてた印象です。通らないものというイメージがあり、先ほどトクさんに稟議といわれた瞬間から震えております。。。」

トクさん「お、そうそう!けど、通らないわけじゃないよ!もうちょっと気楽に考えよう。」

オレ「はい。。」

トクさん「ちょっと硬い話をすると、広辞苑では、『会社などで、所定の重要事項について、決裁権を持っている重役などに主管者が文書で決裁承認を求めること。』とある。つまり、稟議とは、会社として進む方向性について文書で上位者から決裁を取得することなんだ。」

オレ「そういうことなんですね!これって広辞苑では、重要事項って言ってますが、稟議が必要なのは大事なことだけなんですかね。もしそうなら通訳手配に稟議はいらないのではないでしょうか?

通訳手配にわざわざ稟議いる?稟議が、会社として進む方向を決めるとしたら、通訳手配はそんなに重要なことなの?失礼ながら、オレはそう感じていた。

稟議で承認が必要な事項とは!?

トクさん「甘い!大企業では基本的には、ほぼすべての資金拠出が必要な意思決定においては、稟議による承認が必要だ。その稟議申請の形態は様々だが、うちの会社では予算作成時に稟議承認、そしてその予算内で実際に購入契約をする際にも稟議で承認が必要だ。」

オレ「ええええ。。めんどくさいですね。。もし5,000円のものを買うとかでも稟議は必要なのでしょうか。」

トクさん「そう。基本的には必要なんだよ。けど、社長がいちいちそんなもの見てられないから、うちの会社では金額基準を設けている。20万円以下のものは部長決済、100万円までは、本部長決裁、それ以上は社長決裁。こういう風に決裁権限を分担しているんだ。もちろん、この基準は会社によるけどね。

オレ「だったら今回は、部長決裁でいいですね!」

トクさん「その通り!さすがシンスケ!そして、一つ大切なことを補足しておこう。」

オレ「はい、なんでしょう。。」

トクさん「自分の仕事を増やさずモノゴトを社内で進めるにはこの金額基準に徹底的にこだわろう!例えば、同時通訳で通訳者4名手配して、22万円の見積もりが来たとしよう。絶対に、2万円値切れ!!

新興国に旅行に行ったときに買おうとしたものが、地球の歩き方でみた値段より高いと気づいたときと同じくらいの信念をもって値切れ!負けるな!稟議の金額基準は地球の歩き方だ!」

オレ「あ、はあ。例は良くわからないですが熱意は伝わります。。」

トクさん「部長決裁になるか、本部長決裁になるかで仕事の量が倍変わるといっても過言ではない。たった2万円でだぞ。まず稟議のフォーマットが複雑になる。そして単純に承認を取るべき人が増える。だったら、絶対に2万円値切った方が良い。上の階層の稟議になることで最悪の場合、審査が厳しくなることによりもう一回通訳会社を再選定しろとなる場合もある。」

オレ「手戻りは嫌ですね。。ありがとうございます!」

稟議ってどうやって申請すればいいの。。

オレ「概要は理解しました!しかし、実際どうやって申請すればいいでしょうか。。」

トクさん「まず、稟議書を書こう。稟議書は誰が書いても同じポイントを書けるようにフォーマットが決まっている。だからそれを利用しよう。社内のイントラサイトからダウンロードできるはずだよ。」

オレ「ありがとうございます!一生懸命書いてみますので、後で見てくださいね。不安です。。。ところで、書いた後はどうしたらよいでしょうか。。」

トクさん「稟議プロセスと呼ばれるものに乗せよう。これも社内のイントラネットから申請できて、金額基準でプロセスに自動に振り分けられるようになっている。申請後は、いろんな人からこのイントラネット経由で質問が来るからきちんと見ておくようにしよう。この質問に答えるのを忘れると、決裁とったつもりがとれてない。。。みたいな地獄みたいなこともあるよ。。」

稟議でスムーズに決裁を取るコツ

オレ「いろいろ教えて頂きありがとうございます!!すごいクリアになりました。最後に一つ聞きたいのですが、、文書だけで承認とるってめちゃ難しくないですか。。」

トクさん「さすが、シンスケ。お前はやっぱり出来の良い後輩だ。そう、稟議で一番大切なことはその定義に反して文書でなく口頭で承認を取ることなんだ!」

オレ「え、どういうことですか?稟議とは、『決裁権を持っている重役などに主管者が文書で決裁承認を求めること。』って言っていたじゃないですか。」

トクさん「そうなんだ。まず口頭で承認を取る、それから稟議を申請するんだ。この根回しを忘れると、上位者から色んな人が見れるイントラの稟議プロセスでコメントが入る。『これはどういう背景の案件でしょうか。やる意義と投資対効果を説明ください。』とか。こうなったらもう、江戸時代の市中引回しの刑と同じ。色んな人に晒され甚大でない精神的ダメージと残業を強いられる。」

オレ「おそろしいですね。江戸時代と違って首をはねられないだけマシですね。。」

トクさん「いや、このミスをやりすぎるとあいつは仕事ができないというレッテルが貼られて会社にいることがきまずくなり、場合によっては、、、、。。。だからこそ、この根回しが大切なんだ!ものにもよるが、稟議が決裁されるかどうかは申請前に80%は決定している!

終わりなき稟議プロセスの学び

シンスケ「ありがとうございます!よくわかりました。まず稟議書の草案をもって、決裁者の部長に説明に行きます。。」

トクさん「そう、それが正しい。すごい非効率なのはわかるんだけど、みんな知らないことを申請されるとびっくりしちゃうからね。。これが悲しいかな、正しい稟議決裁の取り方なんだ。。」

シンスケ「仕方ないですね。にしても、稟議って奥深そうですね。。」

トクさん「気づいたか。そうまだまだ伝えきれていないことがある。予算が絡んでくるともっと複雑なプロセスが必要だ。そして初めて頼む場合は、相見積を要求される場合もある。もうお願いする先は決まってるのに無駄に他社から見積もりを取るという作業が発生することがある。とまあ、まだまだ話せる。」

シンスケ「もう頭がパンクしそうです。。。とりあえず、通訳の手配稟議通せるようにがんばります!そして、稟議を制する者はサラリーマン人生を制すともいわれてるの意味が少しわかりました。また色々教えてください!」

サラリーマンの多くの工数が割かれる稟議というものを学んだことでオレは、少し成長した。(ひょっとしたら、いつかまたつづく)

稟議プロセスを知ることを何に生かせるか

いかがでしたでしょうか。だいぶシンプル化しましたが、通訳を手配する裏で企業担当者がどういった動きをしているか理解の助けになれば幸いです。

このような企業担当者の背景を理解していると、案件の金額交渉の時にwin-winのソリューションを探る助けになるかと思います。

例えば、値下げ交渉を受けた時、その背景を確認すると良いかもしれません。

理由が稟議の金額基準にあるということであれば、一つ敷居の高い稟議プロセスを通せる情報をきちんと提供すれば、値下げを受け入れなくても良い可能性もあります。

これにより高単価案件を取得することも可能で、クライアントにも喜ばれ継続発注の可能性も出てきます。

なかなか案件が確定しない案件も、ひょっとしたらこの稟議プロセスで止まっているのかもしれません。

そのような場合は、見積もりの有効期限などをきちんと明記しておけば、その期限までに確実に決裁が下りるようになります。たいていの会社のプロセスには特急という特別承認ルートがあり、期限が近いものを優先して決裁してくれます。

少しでも、企業と通訳者がお互いを理解しwin-winの解決策を探れる助けとなればと思います。

稟議についてもっと知りたいという方はお問い合わせください。過去に無数の稟議を上げてきたco-inのハイボーラーがお答えします!

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