最終更新日 2020年10月26日 by co-in

こんにちは。co-inと申します。
CompanyとInterpreterの頭文字2文字ずつを取ってco-inです。名前の通り、通訳業界でのサービスを立ち上げました。

最近、Deep Lという機械翻訳が話題になってます。

めちゃくちゃ精度が高いと話題の機械翻訳「DeepL翻訳」に日本語の翻訳機能が登場したので実際に使ってみた

DeepL翻訳を使ってみた結果、翻訳された文章が日本語としても読みやすい、こなれた文章になっていると感じました。DeepL翻訳は何百万という翻訳済みテキストを基に機械学習を行い、日本語と中国語の社内エキスパートからの助言を総合して日本語・中国語の翻訳を実現したとのことで、「日本語と中国語の追加により、潜在的な新規ユーザーが10億人以上となります」と公式ブログで述べられています。

関西弁もなんなく置き換えられるとのことです。すごい!

最近、「AIによって奪われる職業●選」というような記事をよく目にします。そのような記事には必ず「通訳者」もランクインしています。

ただ同時に、AIによる通訳の置き換えは、技術的にはまだしばらく時間がかかるとも言われています。翻訳はDeep Lのようなイノベーションも進んでいるようですが、通訳は話し言葉であること、同期型コミュニケーションであることから、翻訳より時間がかかると言われています(詳しい解説はたくさん記事があるので、ここでは省略します)。

では、このまま技術が進展し、置き換えられるのを待つだけで良いのでしょうか。ここからは、既存の記事とは少し違う目線で現状を見ていこうと思います。

機能的価値と情緒的価値

少し目線を変え、マーケティングの観点から見てみたいと思います。

物事の価値は機能的価値と情緒的価値に分けられます。(理論の話にすると、もっと細かく分けられますが、一旦簡略化してこの2つとして話します。)

機能的価値というのは、その名の通り、機能を提供する価値を指します。コーヒー屋さんに行きコーヒーを飲むのが、機能的価値です。

一方、情緒的価値とは、その物事を消費するにあたっての「感覚的な魅力」を指します。コーヒーを飲むに当たり、スターバックスへ行ってしまうのは、情緒的価値の高いブランドだからです。

機能的価値のみを提供している商品は、代替品によって置き換えが可能です。情緒的価値は代替されません。そのため、情緒的価値こそがブランドの源泉になります。

情緒的価値が上がると、代替されないだけではなく、価格のコントロールがしやすくなります。スターバックスとコンビニのコーヒーの価格差は、当たり前ですがブランド力、情緒的価値によるものです。

通訳業務と価値

通訳者の行う業務にはどのような価値があるでしょうか。もちろん、話し手の言語を、利き手の言語に置き換える価値があります。これは、直接的な機能的価値になります。他にどのような価値を提供しているでしょうか。

例えば、このような工夫をされている方がいるようです。ジョークを直訳しない、異文化では失礼になってしまうことをたしなめる、言い争いが起こってしまった際には言い方を工夫する…など、今まで聞いてきた人の中にも、様々な方がいました。これらは、通訳業界を外から見ていてはなかなか気づかない、通訳者の工夫です。努力の賜物です。

今のコロナの影響により、今後も会議のオンライン化が進みます。対面でのコミュニケーションが難しくなると、今まで以上に文化的な背景に気遣う必要があると思っております。そんな会議においては、今まで以上に文化的な工夫をも行える通訳者が必要になるでしょう。

このような工夫こそが、通訳の業務に情緒的価値をつけていくためのヒントになると思っております。「言語の置き換え」という機能的価値のみをもつAI通訳に競合せず、スターバックスのコーヒーのように単価を上げていくようなヒントを見つけたいと思っております。

価値の伝え方について

上記のように様々な工夫をされている通訳者の方が多いのにも関わらず、業界の外には伝わっていないかもしれません。

もし仮に一年前、上司から「通訳を手配して」と言われることがあったとしても、私は何を比較して選べばよいのか分からなかったと思います。状況によっては、上記のような工夫のできる方を手配したほうが良いケースもあるかと思います。しかし、そのような選択肢すら思い浮かばないので、手配することができません。

業界外からは、言語を置き換える機能としての価値を中心として受け取られてしまっているため、「AIに置き換えられる」というような議論が簡単になされているのかもしれません。

そのため、私達は「通訳者の方の工夫と、それによって提供できる情緒的価値がある」ということを通訳業界の外にも適切に伝えていければ、通訳業界はまだまだ成長余地があると考えています。

今後について

機能的価値しか伝わっていない状態だと、技術革新が起こるまでの期限的な仕事・業界になってしまいまうかもしれません。(もちろん、それが何年後、何十年後なのかは分からないので、そのままでも現役のうちは問題ないかもしれませんが)

時間がかかることかもしれませんが、情緒的価値が適切に伝わる通訳業界を作り、末永く必要とされる仕事にしたい、今後の世界に合わせて単価も上げていきたいと、私達は考えております。

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1件のコメント

想いその③今考えていること | オンライン対応の通訳者を探すならco-in | co-in · 2020年5月11日 7:17 PM

[…] さて、前回こちらの記事で、「Disruptではなく、共創してよりよい業界を作っていく」という方向性について書きました。また、AIの記事の中で、「情緒的価値をより適切に伝えて、単価をあげていくことができれば…」という話を書きました。 […]

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